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「介護タクシーに介護保険を使えば安くなる」——この話は多くの方が聞いたことがあると思います。ただ、「どんな条件で」「何に対して」適用されるのかを正確に理解している方は少ないです。

実際、介護保険が適用されるのはあくまで「介助料」の部分だけです。タクシーの運賃は介護保険の対象外で、全額自己負担になります。この仕組みを知らないまま利用すると、「思ったより高かった」という感想につながります。

このコラムでは、介護タクシーと介護保険の関係を、仕組みから丁寧に解説します。制度を正確に理解することが、賢く使う第一歩です。

介護タクシーポータル編集部

介護保険で介護タクシーを使う仕組み

介護タクシーを介護保険で利用する場合、適用されるサービス区分は「通院等乗降介助」(訪問介護の一種)です。これは、要介護者が通院・外出する際に、介護士が乗降の介助を行うサービスで、介護保険の給付対象となります。

ただし、介護保険が適用されるのは介助(乗降サポート)の部分のみです。タクシーのメーター運賃・車椅子使用料・ストレッチャー料金などは全額自費になります。この点を事前に理解しておくことが重要です。

💡 介護保険が適用される範囲のイメージ

【介護保険の対象】乗降介助の報酬(1回99単位≒990円)→ 自己負担1〜3割(約99〜297円)
【全額自費】タクシーのメーター運賃 + 車椅子・ストレッチャー使用料 + 機材料

介護保険を適用するための3つの条件

介護タクシーに介護保険を適用するには、以下の3つをすべて満たす必要があります。

条件1:要介護1〜5の認定を受けている

要支援1・2の方は、通院等乗降介助の介護保険適用が原則できません(介護予防訪問介護の対象外)。要支援の方が外出移送支援を使いたい場合は、市区町村の「介護予防・日常生活支援総合事業」を確認してください。

条件2:ケアプランに「通院等乗降介助」が組み込まれている

いくら要介護認定を受けていても、担当ケアマネジャーが作成するケアプランに通院等乗降介助が記載されていなければ保険は使えません。まずケアマネジャーに相談することが必須です。

条件3:介護保険の指定を受けた事業者を利用する

すべての介護タクシー事業者が介護保険を取り扱えるわけではありません。「訪問介護事業所の指定」を受けた事業者のみが通院等乗降介助を提供できます。予約時に「介護保険は使えますか?」と必ず確認しましょう。

ケアプランへの組み込み方:ケアマネジャーへの相談手順

ケアプランへの組み込みは、難しい手続きは不要です。担当ケアマネジャーに以下を伝えるだけです。

ケアマネジャーは利用目的・頻度・身体状況を確認し、適切な事業者の選定や、月の支給限度額に収まるよう調整します。ケアプランの変更(サービス担当者会議の開催)が必要なため、利用したい日の2〜4週間前までに相談するのが理想です。

⚠️ 「通院」以外の目的では介護保険が使えない

通院等乗降介助が対象とする外出は、医療機関への通院・デイサービスへの通所・役所・銀行など社会参加に限られます。買い物・観光・旅行・散歩などの目的には介護保険は適用されません。こうした目的の場合は全額自費での利用になります。

介護保険適用時の料金の内訳

費用の種類介護保険の適用自己負担の目安
通院等乗降介助(介助報酬)✅ 適用(99単位/回)1割:約99円 / 2割:約198円 / 3割:約297円
タクシーのメーター運賃❌ 全額自費距離による(例:5km≒1,500〜2,000円程度)
車椅子使用料❌ 全額自費300〜2,000円程度
ストレッチャー使用料❌ 全額自費3,000〜5,000円程度
迎車料・予約料❌ 全額自費0〜500円程度
💡 介護保険適用でどのくらい節約できる?

介護保険の恩恵は「介助料が1割負担になる」点です。自費で介助料が1,500円かかるところを、保険適用なら約150円(1割負担)に抑えられます。月4回の通院なら、介助料だけで約5,400円の節約になります。

月の支給限度額と利用回数の目安

介護保険には要介護度ごとに「月の支給限度額」が設定されており、通院等乗降介助もこの限度額の中でやりくりします。ただし、通院等乗降介助の単価は1回99単位(約990円)と低めなため、月に多数回利用しても限度額を超えにくいのが特徴です。

要介護度月の支給限度額(目安)通院等乗降介助の月利用可能回数の目安
要介護1約167,650円月約169回分(実質制限なし)
要介護2約197,050円月約199回分(実質制限なし)
要介護3約270,480円月約273回分(実質制限なし)
要介護4約309,380円月約312回分(実質制限なし)
要介護5約362,170円月約365回分(実質制限なし)

※ 透析患者など週3回(月12〜13回)通院する方でも、支給限度額の観点では余裕があります。ただし、他の介護保険サービス(訪問介護・デイサービス等)との合計で限度額を超えないよう、ケアマネジャーと調整が必要です。

よくある質問

Q. 要支援でも介護保険は使えますか?

通院等乗降介助(訪問介護)は要支援1・2の方には適用されません。要支援の方が移送支援を利用したい場合は、市区町村の「介護予防・日常生活支援総合事業」や自治体独自の移送サービスをお住まいの市区町村窓口に確認してください。

Q. 院内での同行・付き添いも保険の対象ですか?

乗降介助・院内での移動介助・受付の補助などは通院等乗降介助に含まれます。ただし、長時間の院内待機(診察待ち中の付き添い)は原則として対象外です。事業者によって対応が異なるため事前に確認してください。

Q. 介護保険が使えない事業者に頼んでしまった場合は?

介護保険の指定を受けていない事業者での利用は全額自費になります。後から保険申請することはできません。必ず予約前に「介護保険の取り扱いはありますか?」と確認しましょう。

介護保険を使うと実際にいくら安くなるのか——具体的な数字で見る

「適用される」と言われてもイメージが湧かない方のために、具体的な数字で確認してみましょう。

介護保険が適用される部分

通院等乗降介助の介助料は、1回あたり片道約990円(2024年度の介護報酬)です。これが介護保険の適用対象となり、要介護度に応じて1割・2割・3割負担になります。

自己負担割合介助料(片道)の自己負担往復の自己負担
1割(多くの方)約99円約198円
2割(一定以上所得)約198円約396円
3割(高所得者)約297円約594円

つまり、1割負担の方なら、往復の介助料が実質約200円で済む計算です。介護保険なしの自費(990円×2回=1,980円)と比べると、明らかに大きな差があります。

注意:メーター運賃には適用されない

一方、タクシーのメーター運賃(例:片道1,500円)には介護保険は適用されません。ここは全額自己負担です。「介護保険があるから全部安くなる」という誤解が多いため、ご注意ください。

「ケアプランへの組み込み」が抜けているケース——思わぬ落とし穴

介護保険で介護タクシーを利用するには、ケアプランに「通院等乗降介助」が含まれている必要があります。要介護認定を受けていても、ケアプランに入っていなければ保険適用になりません。

よくあるのは、「要介護認定は受けているが、これまで通院に介護タクシーを使っていなかったため、ケアプランに含まれていない」というケースです。初めて介護タクシーを使いたいと思ったとき、自動的に保険が適用されるわけではありません。

対処法はシンプルです:担当ケアマネジャーに「介護タクシーを使いたいので、ケアプランに通院等乗降介助を入れてほしい」と伝えるだけです。その後、サービス担当者会議を経てケアプランが変更されます。利用前に必ず確認しましょう。

介護保険は正しく使えば家計の助けになりますが、知らずにいると損をすることもあります。「自分は介護保険を使えるのか」「今のケアプランに通院等乗降介助が入っているか」——まずはケアマネジャーに確認することから始めてみてください。

費用をさらに抑えたい方は、自治体の助成券医療費控除との組み合わせも検討してみてください。