愛媛県の介護タクシー事情
愛媛県は人口約130万人(2025年)、高齢化率は約35.2%(全国第5位水準)と全国でも高い高齢化が進む県です。県庁所在地の松山市(人口約50万人)を中心に、今治市・新居浜市・西条市などの東予・中予の工業・商業都市と、宇和島市・八幡浜市・西予市・愛南町などの南予山間部・沿岸部が南北に長く広がっています。
松山市は四国最大の都市として複数の介護タクシー事業者が稼働しており、道後温泉観光の玄関口でもあります。一方、南予地域(宇和島市から愛南町)は四国山地と宇和海に挟まれた急峻な地形で、公共交通が限られ、高齢化率が45〜50%超の市町も多くあります。また、来島海峡を渡る「しまなみ海道」沿いの島(今治市・上島町)も離島特有の課題を抱えています。
2025年12月19日には愛媛県全域でタクシー運賃の改定が実施され、小型・中型の区分が廃止されて普通車に統一されました。加算単価も80円から100円に値上がりしており、全国的な物価上昇・人件費高騰への対応です。この改定は2023年6月のものから約2年余りで実施された2度目の改定です。
日本最古の温泉とされる道後温泉(松山市)は年間150万人以上の観光客が訪れ、道後温泉本館周辺は週末・連休に混雑します。また「海の道」しまなみ海道は来島海峡大橋・多々羅大橋など6つの橋で本州(広島県尾道市)と今治市を結び、離島(大三島・伯方島など)の高齢者も橋を渡って通院する特殊環境があります。一方南予の宇和海沿岸は段々畑のみかん産地で有名ですが、急傾斜・細道が多く介護タクシーの運行が困難な集落も多くあります。
愛媛県の介護タクシー料金相場(2025年12月19日最新)
介護タクシーの料金は、通常タクシーと同じメーター運賃(距離・時間制)に、介助料・機材使用料・迎車料などが上乗せされる仕組みです。2025年12月19日の改定で小型・中型の区分が廃止され「普通タクシー」に統一されました。加算単価も80円から100円に値上がりしています。
愛媛県のタクシー運賃は2025年12月19日(令和7年12月19日)より改定されました。主な変更点は①小型・中型の区分を廃止し「普通タクシー」に統一、②初乗り距離の短縮(1.1km→1.0km)、③加算単価の値上げ(80円→100円)の3点です。2023年6月26日の改定からわずか2年余りで実施された2度目の改定です。松山市の重度障害者タクシー利用助成券の助成額は2025年度中(〜2026年3月31日)は変更ありません。
タクシーメーター運賃(2025年12月19日改定後・上限運賃)※介護タクシーもこの運賃に介助料等が加算されます
| 車種 | 初乗り運賃 | 加算運賃(距離) | 時間距離併用 | 時間制(30分) |
|---|---|---|---|---|
| 普通タクシー(2025年12月19日〜) | 1.0kmまで 600円 | 315mごとに 100円 | 2分10秒ごとに 100円(時速9km以下) | 3,300円 |
| 特定大型タクシー(2025年12月19日〜) | 1.0kmまで 700円 | 218mごとに 100円 | 1分30秒ごとに 100円(時速9km以下) | 4,400円 |
改定の歴史(中予地区・小型タクシー比較)
| 実施日 | 車種区分 | 初乗り | 加算距離 | 加算単価 |
|---|---|---|---|---|
| 〜2023年6月25日 | 小型・中型 | 1.3kmまで 580〜590円 | 333〜288mごと | 80円 |
| 2023年6月26日〜2025年12月18日 | 小型・中型 | 1.1kmまで 580〜590円 | 305〜260mごと | 80円 |
| 2025年12月19日〜(現行) | 普通(統一) | 1.0kmまで 600円 | 315mごと | 100円 |
加算単価が80円から100円に変わったため、加算回数が多くなる中〜長距離利用では実質的な値上がりが大きくなります。例えば松山市内を10km走行した場合、以前の料金(580円初乗り+80円×28回=2,820円)に対して、改定後(600円初乗り+100円×27回=3,300円)と約500円以上の値上がりになります。迎車料・介助料・機材料も加算されるため、事前に概算見積もりを依頼することを強くおすすめします。
割増・割引制度
| 区分 | 内容 | 条件・備考 |
|---|---|---|
| 深夜早朝割増 | 2割増 | 22時〜翌朝5時 |
| 身体障がい者割引 | 1割引 | 身体障害者手帳を提示・本人確認 |
| 知的障がい者割引 | 1割引 | 療育手帳を提示・本人確認 |
| 迎車料金 | 1回100円 | 旅客の要請により乗車地点まで回送する場合 |
| 寝台車割増 | 2割増(事業者による) | ストレッチャー使用時 |
介護タクシーの追加料金目安
| 項目 | 料金目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 基本介助料 | 1,000〜1,500円程度 | 介護保険適用で1割100〜150円 |
| 車椅子使用料 | 無料〜2,000円程度 | 事業者・車椅子の種類により異なる |
| ストレッチャー使用料 | 3,000〜5,000円程度 | 寝台車割増(2割増)も加算 |
| 迎車料金 | 100円(事業者公示) | 2025年12月19日〜公示料金 |
料金例(2025年12月19日改定後)
ケース1:車椅子で松山市内を片道5km通院(介護保険適用)
- メーター運賃:約1,900円(初乗り600円+距離加算1,300円)
- 迎車料:100円
- 基本介助料:約110円(介護保険1割負担)
- 車椅子使用料:500円程度
- 合計:約2,700〜3,100円
ケース2:ストレッチャーで今治市内の病院間を転院(片道8km・自費)
- メーター運賃:約2,800円(初乗り600円+距離加算2,200円)
- 基本介助料:2,200円(自費)
- ストレッチャー使用料:4,000円程度
- 寝台車割増(2割増):適用の場合あり
- 合計:約10,000〜12,000円
ケース3:宇和島市から松山市内の愛媛大学医学部附属病院まで通院(片道約100km・車椅子・自費)
- メーター運賃:約17,000円以上(長距離加算が大きく発生)
- 基本介助料:1,100円(自費)
- 車椅子使用料:500〜1,000円
- 合計:往復3.5〜4万円以上になることも
助成制度(松山市の2種類の助成券)
松山市には「重度障害者一般タクシー利用助成券」と「重度障害者福祉タクシー利用助成券」の2種類があります。対象者の要件・助成額・利用方法が異なります。
| 項目 | 一般タクシー助成券 | 福祉タクシー(介護タクシー)助成券 |
|---|---|---|
| 対象者 | 在宅の ①身体障害者手帳1級、または ②療育手帳Aの方 |
在宅の方で下記3条件すべてを満たす方 ①身体障害者手帳1級 ②下肢・体幹・移動機能障害が1級または2級 ③車椅子・電動車椅子を常時使用、またはストレッチャーを使用 |
| 助成額(1回あたり) | 580円 | 500円(1回の乗車が1,000円超の場合は2枚まで使用可・最大1,000円) |
| 年間交付枚数 | 24回分(1年度間) | 24回分(1年度間) |
| 申請方法 | 身体障害者手帳または療育手帳を提示し、各窓口で申請書に記入 | 身体障害者手帳を提示し、各窓口で申請書に記入。車椅子等の使用状況を確認する書類(ケアプラン等)が必要な場合あり |
| 交付窓口 | 障がい福祉課・福祉・子育て相談窓口・各支所 | 障がい福祉課・福祉・子育て相談窓口(支所では交付不可) |
| 有効期間 | 交付日〜その年度末(3月31日)。毎年度ごとに申請必要 | 交付日〜その年度末(3月31日)。毎年度ごとに申請必要 |
| 施設入所者 | 特別養護老人ホーム・老健・障害者支援施設等に入所中の方は対象外 | 同左 |
| 問い合わせ | 障がい福祉課(TEL:089-948-6353) | |
松山市の公式サイト(2025年12月15日更新)に「令和7年12月19日から愛媛県のタクシー初乗運賃が改定されますが、令和7年度中(〜令和8年3月31日)の利用助成額の変更はありません」と明記されています。2026年4月以降の助成額変更についてはホームページ等での告知が予定されています。
その他の市町の助成制度
| 市町 | 制度の概要 | 申請先 |
|---|---|---|
| 今治市・新居浜市・西条市など東予 | 各市独自の重度障がい者向けタクシー利用助成制度あり。内容は各市により異なる | 各市障害福祉担当課 |
| 宇和島市・八幡浜市・西予市など南予 | 障がい者向けタクシー料金助成。市によっては高齢者向け移動支援も設定 | 各市役所福祉担当課 |
| 内子町・鬼北町・松野町・愛南町など | 社会福祉協議会の福祉有償運送・デマンド交通など地域独自の移動支援が中心 | 各町役場または社会福祉協議会 |
要介護1〜5の認定を受けた方が訪問介護事業所の介護タクシーを利用する場合、「通院等乗降介助」として介護保険が適用できる可能性があります。この場合、乗降介助の費用の1〜3割が自己負担(運賃は全額自費)となります。松山市・今治市には訪問介護事業所が多く、介護保険対応の介護タクシーが比較的見つけやすい環境です。
愛媛県の地域別介護タクシー環境
中予・東予・南予・しまなみ海道の地域比較
| 地域 | 主要都市・高齢化の特徴 | 介護タクシーの利用環境 |
|---|---|---|
| 中予 | 松山市(人口約50万人・高齢化率約29%)・伊予市・東温市など | 四国最大都市・松山市中心に複数事業者あり。24時間対応の民間救急も稼働 |
| 東予 | 今治市(人口約14万人)・新居浜市・西条市。高齢化率35〜40% | 今治市・新居浜市には複数の事業者。しまなみ海道の橋頭堡として今治市が重要拠点 |
| 南予(上) | 宇和島市(人口約7万2,000人)・八幡浜市。高齢化率40%超 | 宇和島市・八幡浜市には事業者あるが数は限られる。松山市まで片道約80〜100km |
| 南予(下) | 西予市・大洲市・内子町・鬼北町・松野町・愛南町。高齢化率45〜55% | 山間部で道が狭く急峻。専門事業者が極めて少ない。社会福祉協議会の移送支援が重要 |
| しまなみ海道の島 | 今治市域(大三島・伯方島・大島等)・上島町。高齢化率45〜55%超 | 橋でつながる島々。島内の事業者は非常に少なく、今治市本土から依頼することが多い |
今治市の北、芸予諸島に属する上島町(弓削島・生名島・岩城島・佐島等)は愛媛県で唯一、橋でつながっていない有人離島自治体です(上島諸島内の各島は橋でつながっている)。人口約5,600人で高齢化率は約50%前後。本土(三原・尾道・今治)へはフェリーが必要で、松山市の大病院への通院は一日がかりになることもあります。島内に専門の介護タクシー事業者はなく、社会福祉協議会や行政のコーディネートが不可欠です。
愛媛県最南端の愛南町(人口約1万8,000人・高齢化率約55%)は高知県との県境に位置し、松山市まで車で約2時間半かかります。高知県宿毛市のほうが近い場合もあり、県をまたいだ医療機関へのアクセスも現実的な選択肢です。松野町(人口約3,700人・高齢化率約55%)も同様に専門事業者がなく、移動インフラの整備が急務の地域です。
よくある質問
Q. 愛媛県の介護タクシーの最新料金はいくらですか?
2025年12月19日より愛媛県全域でタクシー運賃が改定されました。普通タクシーは初乗り1.0kmまで600円・加算315mごとに100円(時間制30分3,300円)です。介護タクシーの場合はこれに介助料・機材使用料などが上乗せされます。車椅子で松山市内を片道5km通院した場合、介護保険適用で約2,700〜3,100円が目安です。
Q. 松山市の重度障害者タクシー利用助成の2種類の違いは?
①一般タクシー助成券:1回580円・年24回。身体障害者手帳1級または療育手帳Aの在宅の方が対象。②福祉タクシー助成券:1回500円(最大1,000円まで2枚使用可)・年24回。身体障害者手帳1級かつ下肢・体幹・移動機能障害1〜2級かつ車椅子・ストレッチャー常時使用の在宅の方が対象。申請・問い合わせは障がい福祉課(TEL:089-948-6353)へ。
Q. 愛媛県では中予・東予・南予でタクシー料金は同じですか?
2025年12月19日の改定で愛媛県全域の普通タクシーは初乗り1.0kmまで600円・加算315mごと100円に統一されています。ただし島嶼部(しまなみ海道の島など)は別途の運賃体系が適用される可能性があります。予約時に確認してください。
Q. 宇和島市・西予市など南予の山間部でも介護タクシーを利用できますか?
利用できますが対応事業者が限られます。宇和島市・八幡浜市には事業者がいますが数が少ないです。鬼北町・松野町・愛南町などの山間部では専門事業者がほとんどなく、松山市からの呼び寄せまたは社会福祉協議会の移送支援が中心になります。地域包括支援センターへの相談が最初のステップです。
愛媛県で介護タクシーを利用する際の注意点
1. 2025年12月19日の最新運賃改定を確認する
2025年12月19日より愛媛県全域で運賃改定が実施されました。以前の料金(小型:初乗り1.1km・580円・加算305mごと80円)とは大きく異なります。特に加算単価が80円→100円と25%値上がりしており、中〜長距離では大きな差が出ます。見積もり・予約時には改定後の新料金で計算されているか確認してください。
2. 松山市の助成券は年24回・毎年申請が必要
松山市の重度障害者タクシー利用助成券は1年度ごとに24回分(一般580円・福祉500円)が交付されます。前年度の助成券は年度をまたいで使用できず、毎年度初めに申請し直す必要があります。特に福祉タクシー(介護タクシー)助成券は支所では申請・交付ができないため、障がい福祉課か福祉・子育て相談窓口へ直接出向く必要があります。
3. 道後温泉・松山城周辺の混雑に注意
道後温泉(松山市)は年間150万人以上が訪れる人気観光地で、特に春・秋・ゴールデンウィーク・年末年始は周辺道路が混雑します。これらの時期に松山市内で介護タクシーを利用する際は時間に余裕を持ったスケジュールを組み、早めの予約をおすすめします。
4. 南予からの長距離通院は事前に費用と手段を整理
宇和島市・八幡浜市・愛南町から愛媛大学医学部附属病院や松山赤十字病院(松山市)まで通院すると片道80〜100km以上になります。往復3.5〜4万円以上の費用を見込む必要があります。高知県・広島県の医療機関が地理的に近い場合も多く、ケアマネジャーと相談して最適な選択をすることが重要です。
5. 身体障害者手帳・療育手帳提示で1割引を活用
愛媛県内のタクシー事業者では、身体障害者手帳または療育手帳を提示することで運賃が1割引になります。松山市の一般タクシー助成券(580円)と1割引を組み合わせることで費用負担を抑えられます。
愛媛県の主要都市
愛媛県内の主要都市について、より詳しい情報は各都市別ページをご覧ください。
その他の市町(新居浜市・西条市・大洲市・伊予市・四国中央市・八幡浜市・西予市・東温市・上島町・久万高原町・松前町・砥部町・内子町・伊方町・松野町・鬼北町・愛南町)については、各市町の福祉担当課やケアマネジャーにご相談ください。