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広島県の介護タクシー事情

広島県は2025年現在、総人口約272万人、高齢化率約29.7%で、全国平均(約29.3%)とほぼ同水準です。県庁所在地の広島市(政令指定都市・人口約119万人)をはじめ、福山市(約46万人)・呉市(約20万人)・東広島市(約20万人)など比較的大きな都市が複数あり、介護タクシー事業者の数も中国地方では最多の水準にあります。

しかし広島県の地理は複雑です。県の北部・西部には中国山地が広がり、庄原市・三次市・安芸太田町・北広島町・神石高原町などの山間部では高齢化率が40〜55%に達します。一方、瀬戸内海には大崎上島町・江田島市など有人離島を抱えており、本土とフェリーでつながる離島での介護タクシー利用は独自の課題があります。

広島県の介護タクシー料金については、国土交通省中国運輸局が定める「A地区(広島市域地区)」と「B地区(広島市域を除く県内全域)」の2区分があり、2025年11〜12月にかけて両地区とも運賃改定が実施されたばかりです。最新の料金体系を正確に把握することが重要です。

🕊️ 広島県の独自性:平和都市と山間離島の共存

広島市は世界平和記念都市として知られ、国内外から年間1,200万人超の観光客が訪れます。平和記念公園・原爆ドーム周辺や宮島(厳島神社)は観光シーズンに交通渋滞が発生し、通院目的の介護タクシー利用に影響が出ることがあります。また県北の安芸太田町は高齢化率が約55%と全国でも極めて高い水準にあり、過疎と高齢化の最前線でもあります。

広島県の介護タクシー料金相場

介護タクシーの料金は、通常タクシーと同じメーター運賃(距離・時間制)に、介助料・機材使用料・迎車料などが上乗せされる仕組みです。タクシー運賃部分は一般のタクシーと同じ料金体系が適用されます。広島県では2025年11〜12月にかけてA地区・B地区ともに運賃改定が実施されており、介護タクシーの総費用にも影響しています。

⚠️ 広島県は「A地区」「B地区」で運賃体系・改定時期が異なる!

広島県のタクシー運賃は2つの地区に分かれています。A地区(広島市域地区)は2025年12月5日から新運賃を適用。B地区(広島市域を除く県内全域:福山市・呉市・尾道市・三次市・庄原市など)は2025年11月27日から新運賃を適用しています。移動元・移動先がどちらの地区に属するかを確認した上で、事業者に料金の確認をすることが大切です。

タクシーメーター運賃(2025年改定後)※介護タクシーもこの運賃に介助料等が加算されます

地区 対象エリア 初乗り運賃(標準) 加算運賃(距離) 改定日
A地区
(広島市域地区)
広島市(一部除く)、廿日市市(一部除く)、安芸郡海田町・府中町・熊野町・坂町など 1,450mまで 800円 以降300mごとに 100円 2025年12月5日〜
B地区
(広島地区)
広島市域を除く県内全域(福山市・呉市・尾道市・三次市・庄原市・三原市・東広島市など) 1,420mまで 800円 以降288mごとに 100円 2025年11月27日〜
短縮運賃(ちょい乗り)も設定あり

A地区では短縮運賃として「1,150mまで700円」、B地区では「1,150mまで700円」の近距離向け運賃も設定されています(各社の届出による)。ただし短縮運賃を採用するかどうかは事業者ごとに異なります。介護タクシーを利用する場合も、近距離の移動では短縮運賃が適用される事業者もあるため、事前に確認してください。

割増・割引制度

区分 内容 適用条件
深夜早朝割増 2割増 22時〜翌朝5時
寝台車割増 2割増 ストレッチャー使用時
身体障害者・知的障害者割引 1割引 身体障害者手帳または療育手帳を提示・本人確認
迎車料金(広島市域・電話依頼) 200円 電話でのご依頼1車両1回あたり
時間指定予約料金(広島市域) 300円 迎車料金とは別途加算
時間制運賃(貸切・A地区) 普通車:30分3,600円 事前予約が必要

介護タクシーの追加料金目安

項目 料金目安 備考
基本介助料 1,000〜1,500円程度 介護保険適用で1割100〜150円
車椅子使用料 無料〜2,000円程度 事業者・車椅子の種類により異なる
ストレッチャー使用料 3,000〜5,000円程度 寝台車割増(2割増)も加算
車種指定料金(A地区) 1,300円(迎車料含む1,500円) ボクシー・ノア・カムリなど大型車指定時

料金例

ケース1:車椅子で広島市内を片道5km通院(介護保険適用・A地区)

ケース2:ストレッチャーで福山市内の病院間を転院(片道8km・自費・B地区)

ケース3:安芸太田町から広島市内の大病院まで通院(片道約60km・車椅子・自費)

2025年の運賃改定で総費用はどう変わった?

A地区の改定前(2023年〜2025年11月)は「初乗り1,500mまで750円・加算264mごと80円」でしたが、改定後は「初乗り1,450mまで800円・加算300mごと100円」となりました。加算距離が延びたため、短・中距離(5km程度まで)では改定前より若干安くなる場合もある一方、長距離では100円単位での加算が変わるため、総額への影響は移動距離によって異なります。予約時には必ず最新料金で見積もりを確認してください。

広島県の高齢化と地域特性

広島県全体の高齢化率は約29.7%(2025年推計)ですが、広島市などの都市部と中山間部・離島とでは状況が大きく異なります。特に中国山地の山間部では全国平均を大幅に超える高齢化が進んでいます。

地域別の高齢化と介護タクシー環境

地域 高齢化率の目安 介護タクシーの利用環境
広島市 約27%(市全体) 政令指定都市。事業者が最も多く24時間対応も充実
福山市 約29% 中国地方第2の都市。複数の事業者が稼働
呉市 約35% 離島(島嶼部)を含む。市街地は事業者あり
東広島市 約25% 大学城下町。比較的事業者が充実
三次市・庄原市 約40〜42% 県北の中心都市。事業者は限定的で早めの予約が必須
神石高原町 約50%超 対応事業者が非常に少なく、福山市の事業者への依頼も
安芸太田町 約55%(広島県最高水準) 人口5,000人台の過疎地。専門事業者の確保が最大の課題
大崎上島町(豊田郡) 約47% 本土と定期船でつながる離島。島内に事業者あり
江田島市 約44% 複数の島からなる市。島内移動に事業者あり、本土通院は要調整
安芸太田町の高齢化率は広島県内最高水準

山県郡安芸太田町は人口約5,300人のうち高齢者が約55%を占め、広島県内で最も高齢化が進んだ地域です。JR可部線の終点・あき亀山駅から太田川沿いに広がる同町では、路線バスの減便が続き、介護タクシーや福祉有償運送への依存が高まっています。広島市中心部まで約50〜70kmの距離があり、大病院への通院には往復3〜4時間かかることもあります。

助成制度(福祉タクシー乗車券など)

広島県内の各市町では、重度障がい者や高齢者向けにタクシー利用を助成する制度を設けています。制度の名称・対象者・金額は市町ごとに異なります。

広島市①:重度障害者福祉タクシー利用助成

項目 内容
制度名 重度障害者福祉タクシー利用助成(重度障害者福祉タクシー乗車券)
助成内容 1枚500円の乗車券を年間52枚(9月1日〜翌年8月31日)を限度に交付
人工透析の追加交付 じん臓1級で人工透析治療者は年間52枚を追加交付(合計最大104枚)
対象者 身体障害者手帳所持者(障害種別・等級が要件)、療育手帳(マルA・A)、精神障害者保健福祉手帳1級で、前年所得1,695,000円以下の方
利用先 広島市と契約しているタクシー事業者のみ(必要な乗車料金を超えない範囲で複数枚使用可)
割引との組み合わせ 身体障害者手帳・療育手帳を提示することで事業者の1割引が先に適用され、割引後の料金から乗車券を使用
申請窓口 各区役所福祉課または市役所障害福祉課(対象者には申請書を郵送)

広島市②:要支援・要介護高齢者外出支援交通費助成

項目 内容
制度名 要支援・要介護高齢者外出支援交通費助成
対象者 広島市内に住所がある65歳以上の要支援・要介護者(障害のある方は除く)で、所得要件を満たす方
申請方法 毎年6月中旬頃に対象者へ申請書を郵送。必要事項を記入して返送。
申請窓口 お住まいの区役所福祉課高齢介護係または市役所高齢福祉課
注意事項 重度障害者福祉タクシー乗車券との重複受給不可。1度申請すると翌年度以降は自動更新
広島市の2つの制度は重複不可・選択制

広島市では「重度障害者福祉タクシー乗車券」と「要支援・要介護高齢者外出支援交通費助成(いきいき乗車券)」は重複して受給できません。どちらの制度が自分に適しているか、区役所福祉課または高齢介護係に相談して選択してください。なお、いきいき乗車券はタクシー以外にもバス・電車などの公共交通機関にも使えるため、移動手段の幅が広い制度です。

その他の市町の助成制度(例)

市町 制度の概要 申請先
東広島市 重度障がい者向けタクシー乗車助成券(身体障害者手帳1〜3級、視覚4級も対象)。70歳以上の高齢者のみ世帯向け高齢者割引乗車券も別途あり 東広島市障がい福祉課
廿日市市 廿日市市障がい者福祉タクシー利用助成券(LINE申請対応) 廿日市市障害福祉課(LINE・郵送申請も可)
福山市・呉市・尾道市など 各市独自の重度障がい者タクシー利用助成。内容は各市により異なる 各市障害福祉担当課
各町村 社会福祉協議会の福祉有償運送、デマンド交通など地域独自の移動支援も整備 各町村役場福祉担当
介護保険の「通院等乗降介助」も活用しましょう

要介護1〜5の認定を受けた方が訪問介護事業所の介護タクシーを利用する場合、「通院等乗降介助」として介護保険が適用できる可能性があります。この場合、乗降介助の費用の1〜3割が自己負担(運賃は全額自費)となります。広島市のような大都市は訪問介護事業所も多く、介護保険対応の介護タクシーが比較的見つけやすい環境です。ケアマネジャーに相談してケアプランに組み込んでもらいましょう。

広島県の離島での介護タクシー利用

広島県は瀬戸内海に多くの有人離島を抱えています。呉市(下蒲刈島・上蒲刈島・豊島・大崎下島・豊浜島など島嶼部)・江田島市(江田島・能美島・沖美島・大柿島)・豊田郡大崎上島町(大崎上島・大崎下島・契島)などがその代表です。

離島での介護タクシー利用の特徴

離島での移動支援は地域包括支援センターへ相談を

大崎上島町・江田島市などの離島では、介護タクシーに加え、社会福祉協議会が運営する福祉有償運送や、地域の移送ボランティアなど多様な移動支援が整備されている場合があります。本土の大病院への通院計画を立てる際は、地域包括支援センターやケアマネジャーに早めに相談してください。

広島県での介護タクシー利用が多いシーン

1. 通院・定期受診

最も多い利用シーンです。広島大学病院(東広島市)・広島市立広島市民病院・県立広島病院(広島市)・福山市民病院・呉医療センターなど、高度医療機関への通院に使われます。特に山間部・離島からの通院では長距離移動が避けられず、月複数回の定期通院には定期契約が経済的です。

2. 退院・施設への移送

入院から自宅または介護施設への移送に使われます。ストレッチャー対応が必要な場合は事前確認が必須です。広島市・福山市・呉市などの大都市には民間救急(患者等搬送事業者)として24時間対応する事業者もあります。

3. 宮島・観光シーズンの注意

宮島(廿日市市)の厳島神社や平和記念公園(広島市)は年間を通して観光客が多く、特に春・秋・年末年始は周辺道路が混雑します。廿日市市・広島市西部エリアで介護タクシーを利用する際は、観光渋滞を考慮した余裕のある時間設定が必要です。

4. デイサービスへの送迎補完

デイサービスの施設送迎エリア外や送迎時間が合わない場合に活用されます。山間部・離島では施設送迎自体が実施されていないケースもあり、介護タクシーが事実上唯一の移動手段となることもあります。

よくある質問

Q. 広島県の介護タクシーの料金相場はいくらですか?

介護タクシーの料金は、通常タクシーと同じメーター運賃に介助料・機材使用料などが上乗せされます。2025年12月5日改定後の広島市域(A地区)の普通車は初乗り1,450mまで800円・加算300mごとに100円です。広島市域を除く県内(B地区・福山市・呉市・尾道市など)は2025年11月27日改定で初乗り1,420mまで800円・加算288mごとに100円となっています。車椅子で広島市内を片道5km通院した場合、介護保険適用で約3,000〜3,500円が目安です。

Q. 広島市で重度障害者福祉タクシー乗車券は使えますか?

はい、広島市では「重度障害者福祉タクシー利用助成」として、1枚500円の乗車券を年間52枚(9月1日〜翌年8月31日)を限度に交付しています。じん臓1級の人工透析治療者には年間52枚の追加交付があり、最大104枚となります。対象は、身体障害者手帳・療育手帳(マルA・A)・精神障害者保健福祉手帳1級を所持し、前年の所得が1,695,000円以下の方です。広島市と契約しているタクシー事業者のみで使用でき、申請は区役所福祉課へ。

Q. 広島市域(A地区)と広島県その他(B地区)でタクシー料金は違いますか?

はい、異なります。広島県のタクシー運賃は「A地区(広島市域地区)」と「B地区(広島市域を除く県内全域)」に分かれており、改定時期も異なります。A地区は2025年12月5日から新料金(初乗り1,450mまで800円・加算300mごと100円)が適用されました。B地区(福山市・呉市・尾道市・三次市・庄原市など)は2025年11月27日から新料金(初乗り1,420mまで800円・加算288mごと100円)が適用されています。

Q. 広島県の山間部や離島でも介護タクシーを利用できますか?

利用できますが、安芸太田町(高齢化率約55%)・神石高原町・庄原市・三次市・北広島町などの山間部では対応事業者が限られます。大崎上島町・江田島市などの離島は、島内に事業者があれば島内移動は可能ですが、本土の大病院への通院はフェリー利用と組み合わせになります。離島では特殊車両の確保が困難な場合があるため、地域包括支援センターやケアマネジャーへの早めの相談が不可欠です。

広島県で介護タクシーを利用する際の注意点

1. A地区・B地区のどちらの運賃が適用されるか確認する

広島市域(A地区)と広島市域以外(B地区)では異なる運賃体系が適用されます。出発地・目的地がどちらの地区に属するかで料金が変わるため、予約時に必ず確認してください。特に廿日市市・東広島市など境界に近い地域では注意が必要です。また改定時期も異なるため、「改定前の料金で計算されていないか」も確認することをおすすめします。

2. 観光シーズンの宮島・平和記念公園周辺の渋滞に注意

宮島(廿日市市)への玄関口・宮島口周辺、広島市の平和記念公園・原爆ドーム周辺は、春・秋・年末年始に観光客が集中し交通渋滞が発生します。通院などで介護タクシーを利用する際は、観光シーズンの渋滞を見越して時間に余裕を持ったスケジュールを組みましょう。また広島市内は路面電車(広島電鉄)が走っており、路面電車との交差による渋滞も発生します。

3. 山間部からの長距離通院は総費用を事前把握

安芸太田町・神石高原町・庄原市・三次市など県北の山間部から広島市・福山市の大病院へ通院する場合、片道50〜90kmになることがあり、往復交通費が1回で2〜3万円を超えるケースもあります。介護保険の通院等乗降介助、自治体の助成制度、社会福祉協議会の福祉有償運送を組み合わせて費用を抑える工夫が重要です。

4. 介護保険適用の可否をケアマネジャーに確認

要介護認定を受けている方が訪問介護事業所の介護タクシーを使う場合、乗降介助に介護保険が適用できる可能性があります。介護保険が適用されれば介助料の自己負担を1〜3割に抑えられます。広島市は訪問介護事業所が多く、介護保険対応の介護タクシーも見つけやすい環境です。必ずケアマネジャーに確認してケアプランに組み込んでもらいましょう。

5. 身体障害者手帳・療育手帳提示で1割引を活用

広島県のタクシー事業者では、身体障害者手帳または療育手帳を提示することで運賃が1割引になります(精神障害者保健福祉手帳の割引はタクシー事業者によって異なります)。介護タクシー利用時も乗車前に手帳を提示してください。広島市の重度障害者福祉タクシー乗車券は、割引後の料金から使用できるため、組み合わせることで負担をさらに軽減できます。

広島県の主要都市

広島県内の主要都市について、より詳しい情報は各都市別ページをご覧ください。

その他の市町(三次市・庄原市・大竹市・東広島市・廿日市市・安芸高田市・江田島市・府中市・三原市・尾道市・竹原市・安芸太田町・北広島町・大崎上島町・世羅町・神石高原町)については、各市町の福祉担当課やケアマネジャーに対応事業者をご相談ください。