宮崎県の介護タクシー事情
宮崎県は九州の南東部に位置し、「日向灘(ひゅうがなだ)」に面した温暖な県です。2025年現在の高齢化率は約33%で、高齢者人口は約37万人です。宮崎市(県庁所在地)を中心に、都城市・延岡市・日南市・日向市・小林市・えびの市などに人口が分散しています。
宮崎県の介護タクシーには、他県と異なるいくつかの特徴があります。宮崎県は南海トラフ巨大地震の想定被害が特に大きいエリアの一つです。2024年8月8日には宮崎県沿岸付近でM7.1の日向灘地震が発生し、史上初の「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発令されました。避難行動要支援者(高齢者・障害者)の移動支援が全国的な課題として注目されています。
また高千穂峡・えびの高原・椎葉村・西米良村などの山間部・過疎地域では介護タクシー事業者が非常に少ないか、存在しない場合があります。一方で宮崎市・都城市・延岡市などの都市部では事業者が一定数稼働しています。
介護タクシーの料金は、通常のタクシーと同じメーター運賃(距離・時間制)に、介助料・機材使用料・迎車料などが上乗せされる仕組みです。宮崎県のタクシー運賃は令和5年(2023年)7月に改定されており、このページで掲載する「料金」はその認可上限運賃を指します。
宮崎県のタクシーメーター運賃(令和5年7月改定・最新)
宮崎県タクシー協会によると、令和5年(2023年)7月に宮崎交通圏・都城交通圏の運賃が改定されています。改定前(令和2年5月〜)の初乗りは1.5km・690円でしたが、今回の改定で770円に引き上げられました。
宮崎交通圏(宮崎市・国富町・綾町・木城町・新富町・高鍋町など中部地区)
| 項目 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 初乗り運賃 | 1.5kmまで 770円 | 令和5年7月改定(改定前:690円) |
| 加算運賃 | 263mごとに 80円 | 令和5年7月改定 |
| 時間距離併用 | 時速10km以下:1分19秒ごとに80円 | 渋滞・信号待ちで適用 |
| 深夜早朝割増 | 22時〜翌5時 2割増 | 全国共通 |
| 障害者割引 | 手帳提示で 1割引 | 身体・知的・精神障害者手帳 |
都城交通圏(都城市・小林市・えびの市・三股町・高原町・野尻町など南西地区)
| 項目 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 初乗り運賃 | 1.5kmまで 770円 | 令和5年7月改定 |
| 加算運賃 | 260mごとに 80円 | 宮崎交通圏より加算距離がやや短い |
| 深夜早朝割増 | 22時〜翌5時 2割増 | 全国共通 |
| 障害者割引 | 手帳提示で 1割引 | 身体・知的・精神障害者手帳 |
宮崎県の初乗り運賃は1.5km・770円と、九州他県(1.0km〜1.3km)より初乗り距離が長く設定されています。宮崎市内の短距離移動(1.5km以内)は一律770円ですが、その後263mごとに80円ずつ加算されます。短距離利用では他県よりやや割安に感じる場合があります。長距離では他県との差は小さくなります。
介護タクシーの追加料金と料金計算例
| 項目 | 料金目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 迎車料・予約料 | 0〜500円程度 | 事業者・距離により異なる |
| 基本介助料(自費) | 1,000〜2,200円程度 | 介護保険適用時は1割〜3割負担 |
| 車椅子使用料 | 300〜2,000円程度 | リクライニング車椅子は高め |
| ストレッチャー使用料 | 3,000〜5,000円程度 | 特殊介助料含む場合あり |
| 深夜早朝割増 | メーター運賃の2割増 | 22時〜翌5時・全国共通 |
料金計算例
ケース1:車椅子で宮崎市内の病院まで片道4km(自費・宮崎交通圏)
- メーター運賃:770円(初乗り1.5km)+80円×9回(残り2,500m÷263m≒9回)= 1,490円
- 迎車料:300円 / 車椅子使用料:300円 / 基本介助料:1,200円(自費)
- 合計目安:約3,290円
ケース2:車椅子で病院まで片道4km(介護保険適用・宮崎交通圏)
- メーター運賃:1,490円 / 迎車料:300円 / 車椅子使用料:300円 / 基本介助料(1割負担):約110〜220円
- 合計目安:約2,200〜2,310円
ケース3:ストレッチャーで転院・片道12km(自費・宮崎交通圏)
- メーター運賃:770円(初乗り)+80円×39回(残り10,500m÷263m≒39回)= 3,890円
- 迎車料:500円 / ストレッチャー使用料:4,000円 / 基本介助料:2,200円(自費)
- 合計目安:約10,590円
ケース4:高千穂町から延岡市の病院まで片道50km(自費・宮崎交通圏)
- メーター運賃:770円(初乗り)+80円×184回(残り48,500m÷263m≒184回)= 15,490円
- 迎車料:500円 / 車椅子使用料:1,000円 / 基本介助料:2,200円
- 合計目安:約19,190円(往復で約38,000円)
- 山間部からの長距離移動は非常に高額になるため、医療ソーシャルワーカーへの相談・入院施設の変更も視野に入れてください
宮崎市の助成制度(令和7年度最新情報)
重度障がい者タクシー料金等助成
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 宮崎市内在住の在宅の方で所得制限を満たす方のうち、①身体障害者手帳1・2級 ②療育手帳A(最重度・重度) ③精神障害者保健福祉手帳1級 ④その他市長が認める方(20歳以上:市県民税所得割が一定額以下、20歳未満:保護者等の市県民税が一定額以下) |
| 助成内容(選択制) | ①タクシー券:12,000円分(500円券24枚) または ②ガソリン券:6,000円分(500円券12枚)。毎年7月1日から翌年6月30日まで1年間有効。1冊のみ交付 |
| 使用方法 | 1回の乗車に枚数制限なし(所持する枚数の範囲内で使用可) |
| 申請方法 | 宮崎市各区福祉課・各総合支所(高岡・佐土原・田野・清武)の窓口、またはスマート申請(電子申請) |
| 申請受付 | 令和7年度は令和7年6月2日〜6月20日(事前申請)。受取は7月1日〜 |
| お問い合わせ | 宮崎市障がい福祉課 電話:0985-21-1774 |
腎臓機能障がい者通院費助成(透析患者向け)
宮崎市では重度障がい者タクシー料金等助成とは別に、透析のために定期的に医療機関へ通院する腎臓機能障がい者への通院費助成事業を設けています。週2〜3回の定期透析通院が必要な方の移動費用の一部を助成する制度です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 宮崎市内在住の人工透析が必要な腎臓機能障がい者(所得制限あり) |
| 助成内容 | タクシー利用に対する助成(詳細金額・枚数は申請時に確認を) |
| 重度障がい者タクシー助成との関係 | 両制度を別々に申請できる場合あり。詳細は障がい福祉課に要確認 |
| 申請窓口 | 宮崎市障がい福祉課 電話:0985-21-1774 |
週3回の人工透析通院(年間約150回)が必要な透析患者の方は、重度障がい者タクシー料金等助成(12,000円分)だけでは年間の交通費をカバーしきれない場合があります。腎臓機能障がい者通院費助成制度と組み合わせることで支援を最大化できます。宮崎市障がい福祉課(0985-21-1774)に両制度の適用条件と組み合わせ方法を相談してください。
都城市・延岡市などの助成制度
都城市・延岡市・日南市・日向市・小林市・えびの市・三股町・高鍋町などの各市町でも独自の福祉タクシー助成制度を設けています。制度の内容(交付金額・対象者)は自治体ごとに異なりますので、各市区町村の障がい福祉担当窓口またはケアマネジャーにご確認ください。
宮崎県内の地域別介護タクシー環境
宮崎市(県庁所在地・太平洋沿岸)
- 事業者数:県内最多。大手から個人事業者まで幅広い選択肢
- 宮崎空港周辺:宮崎ブーゲンビリア空港への送迎需要が高い。空港定額運賃を設定する事業者もある
- イベント時渋滞:みやざきフェニックス花火大会(夏)・ジャパンカップサイクルロードレース(秋)などのイベント時は市内が混雑する
- 南海トラフ沿岸低地:宮崎市の沿岸・河川沿い低地は南海トラフ津波の想定浸水区域に含まれる。平時からの避難計画が重要
都城市・三股町(南部・大隅国境地域)
- 都城市:宮崎県南西部の中心都市。鹿児島県鹿屋市・曽於市に隣接。一定数の事業者が稼働
- えびの市:えびの高原(霧島連山)を抱える小都市。事業者数は少なく、小林市から移動してくるケースも多い
- えびの高原の積雪:冬季(12〜3月)は霧島山系で積雪・凍結が発生。通院時の路面状況確認が必要
延岡市・日向市(北部沿岸地域)
- 延岡市:宮崎県北部の工業都市(旭化成の企業城下町)。市街地に一定数の事業者が稼働
- 日向市:細島港・細島工業港を抱える港湾都市。市街地に事業者あり
- 門川町・美郷町:延岡市の南西に広がる山間部農村。事業者が少ない
日南市・串間市(南部海岸線地域)
- 日南市:飫肥城下町・鵜戸神宮・サンメッセ日南などの観光地。市街地に事業者あり。GW・秋の観光シーズンは混雑
- 串間市:宮崎県最南端の市。都城市・鹿児島県志布志市との境界に位置。事業者は少ない
- 南海トラフ:日南市・串間市の海岸線低地は南海トラフ津波の想定浸水域に広く含まれる
高千穂町・日之影町・五ヶ瀬町(北部山岳地域)
- 高千穂峡:全国的に有名な観光地。紅葉(秋)・夜神楽(11月)は混雑するが、医療施設(延岡市の病院)まで50km以上の移動が必要な地域
- 事業者:高千穂町内に少数の事業者が稼働しているが、介護専用事業者は非常に少ない
- 日之影町・五ヶ瀬町:事業者がほとんどない。地域包括支援センターへの相談が必須
椎葉村・西米良村・諸塚村(秘境・山岳過疎地域)
- 椎葉村:全国有数の秘境集落(日本の秘境100選)。急峻な山地に集落が点在。介護タクシー専用事業者はほぼ存在しない。村の移送支援サービスを活用
- 西米良村:宮崎県内でも特に人口が少ない村(約千人)。専門の介護タクシー事業者が存在しない
- 対応策:村の福祉移送サービス・NPO法人・社会福祉協議会のボランティア移送を活用するほか、入院・入所施設への転居を検討する方も多い
南海トラフ地震臨時情報と介護タクシーの利用
2024年8月8日、日向灘(宮崎県沿岸沖)でM7.1の地震が発生し、気象庁は史上初となる「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表しました。この期間中、宮崎県内の沿岸部・低地では自主的な事前避難が呼びかけられ、医療機関への通院や定期サービス(デイサービス等)の利用に影響が出ました。
宮崎県は南海トラフ巨大地震の想定震源域に近く、沿岸部では大きな津波被害が想定されています。介護・障害のある方(避難行動要支援者)にとって、平時から複数の移動手段を確保しておくことが重要です。
- 普段利用している介護タクシー事業者の連絡先と、代替事業者の連絡先を複数把握しておく
- 市区町村の「避難行動要支援者名簿」への登録を行い、地域の支援体制に組み込まれておく
- 臨時情報(巨大地震注意)発令時は事業者が通常業務を縮小・休止する場合があることを理解しておく
- 透析患者の方は、近隣複数の透析病院と交通手段の確認を平時から行っておく
宮崎県の沿岸市町村(宮崎市・日向市・延岡市・日南市・串間市・高鍋町・新富町・川南町・都農町など)は南海トラフ巨大地震発生時に津波が数分〜十数分で到達する可能性があります。介護が必要な方は、平時から避難場所・避難経路・移送手段を確認しておくことが不可欠です。市区町村のハザードマップを確認し、地域包括支援センターにも相談してください。
よくある質問
Q. 宮崎県の介護タクシーの料金相場はいくらですか?
宮崎交通圏(令和5年7月改定)は初乗り1.5kmまで770円・以降263mごとに80円加算です。都城交通圏は初乗り1.5kmまで770円・260mごとに80円加算です。これに介助料(1,000〜2,200円程度)・車椅子使用料(300〜2,000円程度)が加算されます。
Q. 宮崎市で重度障がい者タクシー料金等助成は受けられますか?
はい、宮崎市では身体障害者手帳1・2級・療育手帳A・精神障害者保健福祉手帳1級などをお持ちの方(所得制限あり)に、タクシー券12,000円分(500円券24枚)またはガソリン券6,000円分(500円券12枚)のいずれかを毎年7月から1年間交付しています。スマート申請(電子申請)も可能です。
Q. 宮崎市の腎臓機能障がい者通院費助成とは何ですか?
透析のために定期的に医療機関へ通院する腎臓機能障がい者への通院費助成制度です。重度障がい者タクシー料金等助成(12,000円分)とは別の制度です。詳細は宮崎市障がい福祉課(0985-21-1774)にお問い合わせください。両制度を組み合わせることで透析患者の年間交通費負担を大幅に軽減できます。
Q. 高千穂・椎葉などの山間部で介護タクシーは利用できますか?
高千穂町には少数の事業者がありますが、椎葉村・西米良村・諸塚村などの過疎山間部には介護タクシー専用事業者がほぼ存在しない場合があります。村の移送支援サービスや社会福祉協議会のボランティア送迎の活用が必要です。地域包括支援センターへの相談をおすすめします。
Q. 南海トラフ地震警戒情報が発令された際に介護タクシーを使えますか?
南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意・警戒)が発令された場合、事業者が業務を縮小・休止する可能性があります。2024年8月の発令時には通院に影響が出ました。平時から複数の移送手段を確保し、緊急時の連絡先を把握しておくことが重要です。
宮崎県で介護タクシーを利用する際の注意点
1. 宮崎市の2つの助成制度(重度障がい者・腎臓機能障がい者)を組み合わせる
週3回の透析通院が必要な腎臓機能障がい者の方は、年間150回以上のタクシー利用が必要です。重度障がい者タクシー料金等助成(12,000円)だけでは全回数をカバーできないため、腎臓機能障がい者通院費助成との組み合わせが有効です。宮崎市障がい福祉課(0985-21-1774)に両制度を合わせて相談してください。
2. 山間部からの長距離通院は費用が非常に高くなることを認識する
高千穂町・椎葉村・西米良村から延岡市・宮崎市の病院まで片道50〜100kmの移動が必要な場合、タクシー代は往復で3〜5万円になる場合があります。このような長距離通院が必要な方は、病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)・地域包括支援センターに「入院・入所施設への転居」「医療機関の変更」も含めて相談してください。
3. 南海トラフ地震への備えは平時から行う
宮崎県の沿岸部では南海トラフ巨大地震に備えた避難計画が重要です。介護・障害のある方は避難行動要支援者名簿への登録、緊急時の移送手段の確保を平時から準備してください。
4. 宮崎交通圏・都城交通圏は別の料金設定であることを確認する
宮崎交通圏と都城交通圏では加算距離が若干異なります(263mと260m)。都城市・小林市・えびの市の方は都城交通圏の運賃で計算してください。宮崎市から都城市への移動は異なる交通圏をまたぐため、事前に事業者から見積もりを取ることをおすすめします。
5. えびの高原・霧島周辺は冬季の積雪・凍結に注意
えびの市・小林市のえびの高原(標高1,200m超)・霧島連山周辺は冬季(12〜3月)に積雪・道路凍結が発生します。通院は路面状況を事業者に確認した上で出発時間に余裕を持って設定してください。
6. 観光シーズンは高千穂・日南で渋滞が発生する
高千穂峡は秋の紅葉シーズン(10〜11月)・夜神楽(11月)に観光客で混雑します。日南(鵜戸神宮・飫肥城・サンメッセ日南)もGW・秋に混雑します。これらの地域での通院・通所は時間に余裕を持って計画してください。
7. 椎葉村・西米良村の過疎地域は地域移送サービスとの組み合わせを検討する
椎葉村・西米良村・諸塚村などの過疎山間部では介護タクシー専用の事業者が存在しない場合があります。村の福祉移送サービス・NPO法人・社会福祉協議会のボランティア移送・市区町村の患者移送支援制度などを組み合わせることが必要です。
宮崎県の主要都市・地域情報
宮崎県内の主要都市については、より詳しい情報を各市町村ページでご確認ください。
椎葉村・西米良村・諸塚村・美郷町・日之影町・五ヶ瀬町・高原町・三股町・串間市などについても介護タクシー事業者が対応しています(事業者が非常に少ない地域あり)。各市区町村の福祉担当課またはケアマネジャーにご相談ください。