佐賀県の介護タクシー事情
佐賀県は九州の北西部に位置し、2025年現在の高齢化率は約32%と全国平均(29.3%)を上回っています。高齢者人口は約26万人で、佐賀市・唐津市・伊万里市・有田町などに分散して生活しています。介護タクシーの需要は高く、公共交通機関が充実していない農村・山間部ではその重要性が特に高まっています。
佐賀県内のタクシー運賃は佐賀県地区として一律の運賃体系が設定されています(一部例外あり)。令和5年(2023年)10月25日に運賃改定が実施され、普通車の初乗り運賃が1.5kmまで810円となりました。ただし、武雄市・大町町・江北町・白石町内の事業者および小城市・嬉野市内の一部事業者は近距離利用者向けの「初乗距離短縮運賃」(1,008mまで650円)を採用しています。
また、佐賀県特有の事情として、嬉野温泉・武雄温泉への観光客輸送や、有田町・伊万里市の陶磁器関連イベント時の交通渋滞、さらに玄海町・唐津市の原子力発電所立地による地域特性など、通常の介護タクシー利用と異なる要素があります。
介護タクシーの料金は、通常のタクシーと同じメーター運賃(距離・時間制)に、介助料・機材使用料・迎車料などが上乗せされる仕組みです。「介護タクシー専用の料金表」があるわけではなく、タクシーメーター運賃は佐賀県運輸局が認可した料金が適用されます。このページで掲載する「料金」はこのメーター運賃(上限運賃)を指します。
佐賀県のタクシーメーター運賃(令和5年10月25日改定・最新)
一般社団法人佐賀県バス・タクシー協会が公示している最新運賃は以下の通りです。(出典:佐賀県バス・タクシー協会公式サイト)
普通車の基本運賃(佐賀県地区・令和5年10月25日改定)
| 項目 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 初乗り運賃(通常) | 1.5kmまで 810円 | 改定前:730円(80円値上げ) |
| 加算運賃 | 246mごとに 80円 | 改定前:271mごとに80円 |
| 時間距離併用運賃 | 時速10km以下:1分30秒ごとに80円 | 渋滞・信号待ちに適用 |
| 時間制運賃 | 30分ごとに 2,550円 | 事前契約が必要 |
| 深夜早朝割増 | 22時〜翌5時 2割増 | 全国共通 |
武雄市・大町町・江北町・白石町内事業者、および小城市・嬉野市内の一部事業者では、初乗距離短縮運賃(1,008mまで650円)を採用しています。通常の1.5km・810円より近距離に有利な料金設定です。ご利用前に事業者に確認することをおすすめします。
割引制度(全事業者共通)
| 割引の種類 | 割引率 | 必要書類・条件 |
|---|---|---|
| 身体障害者割引 | 1割引 | 身体障害者手帳を乗車時に提示 |
| 知的障害者割引 | 1割引 | 療育手帳を乗車時に提示 |
| 精神障害者割引 | 1割引 | 精神障害者保健福祉手帳を乗車時に提示 |
| 運転免許返納割引 | 1割引 | 運転経歴証明書を提示。障害者割引との重複不可。 ※佐賀県運転免許返納支援事業による2割引は令和7年3月末で終了 |
| 遠距離割引(普通車) | 9,000円超の部分を1割引 | 障害者割引・返納割引との重複割引あり |
迎車料金はタクシー会社により異なります。迎車回送距離が2kmを超える場合は出発地点から2kmの地点を距離制運賃の起算点とします(2km未満は迎車料無料)、または1回ごとに200〜300円の固定料金のいずれかを採用しています。時間指定配車(予約)の場合は1回ごとに200〜500円の予約料が加算される場合があります。詳細は各タクシー会社にお問い合わせください。
介護タクシーの追加料金と料金計算例
介護タクシーの総額は、タクシーメーター運賃に以下の追加料金が加算されます。事業者によって設定が異なりますので、予約時に必ずご確認ください。
主な追加料金の目安(佐賀県内)
| 項目 | 料金目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 迎車料・予約料 | 0〜500円程度 | 事業者・距離により異なる |
| 基本介助料(自費) | 1,000〜2,200円程度 | 介護保険適用時は1割〜3割負担 |
| 車椅子使用料 | 300〜2,000円程度 | リクライニング車椅子は高め |
| ストレッチャー使用料 | 3,000〜5,000円程度 | 特殊介助料含む場合あり |
| 付添い介助(ヘルパー) | 1時間 3,500〜4,000円程度 | 以降15分ごとに加算 |
| 深夜早朝割増 | メーター運賃の2割増 | 22時〜翌5時・全国共通 |
料金計算例
ケース1:車椅子で近くの病院まで片道3km(自費・通常の佐賀県地区)
- メーター運賃:810円(初乗り1.5km)+80円×6回(残り1,500m ÷ 246m ≒ 6回)= 1,290円
- 迎車料:300円
- 車椅子使用料:300円
- 基本介助料:1,200円(自費)
- 合計目安:約3,090円
ケース2:車椅子で病院まで片道3km(介護保険適用・通常の佐賀県地区)
- メーター運賃:1,290円(上記同様)
- 迎車料:300円
- 車椅子使用料:300円
- 基本介助料:介護保険1割負担で約110〜220円
- 合計目安:約2,000〜2,110円
ケース3:ストレッチャーで病院間転院・片道15km(自費)
- メーター運賃:810円(初乗り)+80円×55回(残り13,500m ÷ 246m ≒ 55回)= 5,210円
- 迎車料:500円
- ストレッチャー使用料:4,000円
- 基本介助料:2,200円(自費)
- 合計目安:約11,910円
午後10時から翌朝午前5時の間はタクシーメーター運賃が2割増しになります。ケース1の場合、深夜ではメーター運賃が約1,548円になります。また介助料も深夜割増を設定している事業者が多いため、夜間利用の際は必ず事前に確認してください。
佐賀市の助成制度(重度心身障害者福祉タクシー券)
佐賀市では在宅の重度心身障害者を対象に「重度心身障害者福祉タクシー券」を交付しています。毎年4月1日から申請受付が始まります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 在宅で次の障害者手帳をお持ちの方。①上肢・下肢・体幹・視覚障がい:1種1級または1種2級の身体障害者手帳(個別の等級で判断) ②療育手帳(重度程度)をお持ちの方 ③精神障害者保健福祉手帳1級をお持ちの方(詳細は佐賀市障がい福祉課にご確認ください) |
| 利用券の内容 | 1枚につき初乗り運賃を上限としてタクシーが利用できる利用券を年間一定枚数交付 |
| 申請開始 | 毎年4月1日から(令和7年度は4月1日から交付開始) |
| 申請に必要なもの | 身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳のいずれか、印かん(認め印可) |
| 申請窓口 | 佐賀市障がい福祉課(佐賀市役所)または各支所 |
タクシーに乗車の際は、身体障害者手帳等を提示した上で利用券を冊子のまま乗務員に提示します。身体障害者手帳・療育手帳をお持ちの方は、手帳の提示で1割引になる制度も同時に利用できます(精神障害者保健福祉手帳は対象外)。利用券の交付は毎年度1人1冊となり、紛失しても再交付はできませんのでご注意ください。
要援護高齢者等タクシー利用料金助成(佐賀市)
佐賀市では、介護認定を受けた高齢者でも一定の条件を満たす方に対し、タクシー利用料金の助成を行っています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 市内在住で介護保険の要介護1以上の認定を受けている方で、身体障害者手帳1・2級または療育手帳○A・Aの交付を受けていない方(重度障害者との重複対象除外) |
| 助成内容 | 1枚500円の利用券を年間最大12枚支給。1回の利用につき2枚まで使用可(最大1,000円/回) |
| 利用目的 | 通院・介護施設への通所等に限定 |
重度心身障害者福祉タクシー券は障害の等級が対象要件で、要援護高齢者等タクシー利用料金助成は介護認定が要件です。両制度は基本的に重複して受給できません。ご自身がどちらの対象に該当するか、佐賀市障がい福祉課または高齢者福祉担当窓口にお問い合わせください。
周辺市町の助成制度について
佐賀市以外の各市町村でも、重度障害者を対象とした独自の福祉タクシー助成制度を設けているところがあります。唐津市・鳥栖市・伊万里市・武雄市・神埼市・小城市などお住まいの市町村の福祉担当窓口に必ずご確認ください。制度の内容(枚数・金額・対象者)は市町村ごとに大きく異なります。
佐賀県内の地域別介護タクシー環境
佐賀市周辺(佐賀平野)
- 事業者数:県内最多。佐賀市を中心に複数の介護タクシー・福祉タクシー事業者が稼働
- 交通事情:佐賀市内は比較的渋滞が少ないが、バルーンフェスタ(10〜11月)などイベント開催時は市内が混雑するため時間に余裕を
- 予約:1週間前を目安に。ただしイベント時期は2週間前からの予約が安心
唐津市・玄海町(唐津・玄海地域)
- 特徴:唐津市は海と山に囲まれた広大な市域。呼子・玄海原子力発電所など海岸部まで含む
- 事業者数:唐津市中心部は一定数あるが、七山地区などの山間部は少ない
- 玄海原子力発電所:玄海町は九州電力玄海原発の立地自治体。避難計画に基づく交通制限時は介護タクシー利用に支障が出る可能性があるため、有事対応について地元事業者に確認しておくことが安心
- 呼子・離島(加部島等):呼子から船でアクセスする加部島など周辺離島への対応は非常に限られており、原則対応不可
伊万里市・有田町・武雄市(西部地域)
- 観光渋滞:有田陶器市(ゴールデンウィーク)は全国屈指の混雑。この時期の通院・移動には十分な時間余裕が必要
- 嬉野温泉:嬉野市は温泉観光地として知名度が高い。観光シーズンは道路が混雑することがある
- 武雄・大町の短縮運賃:武雄市などは初乗り短縮運賃(1,008m・650円)を採用する事業者が多く、近距離では割安
- 山間部:多久市・有田町の山間部は事業者が限られる。早めの予約が必須
鳥栖市・基山町・みやき町(東部・鳥栖地域)
- 特徴:九州自動車道や鳥栖JCTがある交通の要衝。福岡県境に近く、久留米市や博多への通院需要がある
- 事業者:鳥栖市は一定数の事業者がある。県境をまたぐ移動は事前に対応可否を確認
- 高齢化:基山町・みやき町は農村地帯でも高齢化が進んでいる
小城市・多久市・神埼市(中部山間部)
- 山間部の過疎化:天山山系に近い農村地帯。高齢化率が高く介護タクシーの需要があるが、事業者が少ない地区がある
- 人工透析患者:透析施設への定期通院者が多く、週3回の定期移送が必要。事業者との長期契約を結んでいるケースも多い
よくある質問
Q. 佐賀県の介護タクシーの料金相場はいくらですか?
介護タクシーの料金は通常のタクシーメーター運賃に介助料などが加算される仕組みです。令和5年10月25日改定で、普通車は初乗り1.5kmまで810円・以降246mごとに80円加算です。これに介助料(1,000〜2,200円程度)・車椅子使用料などが加算されます。武雄市・嬉野市などの一部事業者では初乗り1,008mまで650円の短縮運賃を採用しています。
Q. 佐賀市で福祉タクシー券は使えますか?
はい、佐賀市では重度心身障害者を対象に「重度心身障害者福祉タクシー券」を毎年4月1日から交付しています。対象は上肢・下肢・体幹・視覚障がいで1種1・2級の方などです。1枚につき初乗り運賃を上限に利用できます。詳細は佐賀市障がい福祉課(電話:0952-40-7066)にご確認ください。
Q. 佐賀県で深夜・早朝に介護タクシーを利用すると割増になりますか?
はい、午後10時から翌朝午前5時の間はタクシーメーター運賃が2割増しになります(全国共通)。また身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳を提示することで1割引になる割引制度もあります。
Q. 佐賀県の嬉野市・武雄市では初乗り運賃が安くなりますか?
はい、武雄市・大町町・江北町・白石町内の事業者および小城市・嬉野市内の一部事業者では、初乗距離短縮運賃(1,008mまで650円)を採用しています。通常の1.5km・810円より近距離に有利ですが、全事業者が採用しているわけではないため事前確認を推奨します。
Q. 佐賀県の介護タクシーで予約はどのくらい前にすればよいですか?
定期通院の場合は1週間前を目安に予約することをおすすめします。佐賀市・唐津市など主要都市は比較的予約が取りやすいですが、農村・山間部は事業者が少ないため早めの予約が必要です。有田陶器市(GW)やバルーンフェスタ(10〜11月)などイベント時期は2週間前からの予約を推奨します。
佐賀県で介護タクシーを利用する際の注意点
1. 初乗り運賃の違いを確認する
佐賀県内でも武雄市・嬉野市などの事業者は短縮運賃(1,008m・650円)を採用しています。一方、通常の佐賀県地区は1.5km・810円です。特に近距離の移動が多い方は、事業者選びの際に料金体系を確認しておきましょう。
2. バルーンフェスタ・有田陶器市などイベント時期の渋滞
佐賀市では毎年10〜11月に「佐賀インターナショナルバルーンフェスタ」が開催され、市内が大きく混雑します。有田町でもゴールデンウィークの「有田陶器市」期間中は町内全体が渋滞します。これらのイベント時期は通院の時間を普段より30〜60分多く確保してください。
3. 山間部・農村部は事業者が限られる
多久市・小城市の山間部・天山山系沿い、唐津市の七山地区、伊万里市の北部山間部などは介護タクシー事業者が非常に少ない地域です。かかりつけのケアマネジャーや市区町村の地域包括支援センターに相談し、利用可能な事業者を事前にリストアップしておくことをおすすめします。
4. 玄海原発立地地域の特殊事情を把握しておく
玄海町は九州電力玄海原子力発電所の立地自治体です。万が一の際の避難計画では、介護が必要な方は広域避難の優先対象となります。有事対応時の移送については、自治体の福祉避難所担当窓口や社会福祉協議会に事前に確認しておくことが安心です。
5. 運転免許返納割引の変更に注意
佐賀県では令和7年3月末をもって「佐賀県運転免許返納支援事業による2割引」が終了しました。現在は通常の「運転免許返納割引」(運転経歴証明書提示で1割引)のみとなっています。なお、障害者割引(1割引)と運転免許返納割引(1割引)の重複割引は利用できません。
6. 人工透析患者は定期的な利用を想定した計画を
週3回の人工透析で通院する方は、月12〜13回程度のタクシー利用が必要となります。佐賀市の重度心身障害者福祉タクシー券や各自治体の助成制度を活用するとともに、事業者と長期的な契約を検討することで費用と予約の安定化を図ることができます。
7. 福岡・長崎・熊本県境をまたぐ移動は事前確認を
佐賀県は福岡・長崎・熊本の3県と接しています。鳥栖市から久留米市への移動、伊万里市から長崎県松浦市への移動など県境をまたぐ場合は、事業者によって対応エリア外となる可能性があります。予約時に出発地・目的地を正確に伝え、対応可否を必ず確認してください。
佐賀県の主要都市・地域情報
佐賀県内の主要都市については、より詳しい情報を各市町村ページでご確認ください。
その他の市町村についても介護タクシー事業者が対応しています。お住まいの地域の事業者については、各市町村の福祉担当課またはケアマネジャーにご相談ください。